<1252プロジェクトとコラボ> 万博会場内サステナドームで、「生理とスポーツ」の授業を実施しました!
2025年7月4日(金)、大阪・関西万博会場内サステナドームにて、SDGsをテーマに、次世代へその内容を最大限伝えるためのESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)として、「生理とスポーツ」をテーマとした授業を実施しました!
今回の授業は、1252プロジェクトと学校法人OCCとのコラボレーションにより行ったものです。
参加者は同志社大学や追手門学院大学の大学生たち。男子学生が多く参加してくれました。午前と午後の2回、講義を実施。月経とパフォーマンスに関する基礎知識を学び、月経とスポーツにまつわるリアルな課題、そしてそれにどう向き合うべきかについて、グループワークなどを行いました。
「誰にでも関係がある話」として、性別を問わず届いたメッセージ
授業の冒頭で、スポーツを止めるな代表理事で競泳元日本代表の伊藤華英さんは自身の現役時代を振り返りながら、「生理の問題は、女性アスリートだけの問題ではない」と語りました。
「生理を理由に力を出し切れないことを“言い出せない空気”が課題の一つだと思います。指導者や周囲の理解があれば防げることがたくさんあるはずです」と続け、男性を含めた周囲の人々の理解と関わりの重要性を強調しました。さらに自身の競技生活のなかでも「我慢が美徳とされ、体調が悪くても口に出せなかった」と経験談を交えた話を、学生たちは真剣な面持ちで耳を傾けていました。
授業の前半では、運動部所属の女子学生の実態調査から月経に関する課題感を把握してもらったうえで、PMS(生理前症候群)やエネルギー不足に陥らないための栄養計算、無月経のリスクなど、生理に関するさまざまな話題を取り上げました。
伊藤さんからは「婦人科は“病気の人が行く場所”ではなく、“相談する場所”でもある」とし、婦人科の利用に対する意識を変えていく必要性を改めて強調しました。
授業の後半では、参加学生が数グループに分かれ、「これからのスポーツ指導者は、女子学生アスリートの生理の課題とどう向き合っていくべきか」をテーマに、ディスカッションをしてもらい、全体に向けて発表を行ってもらいました。
あるグループは「生理の状況をプリントで提出するルールを入部時に設ける」、別のグループは「日々の体調を可視化できるアプリを導入する」などのアイデアを発表。また「週に一度、女性の専門家が来校して話せる機会を作る」、「女性スタッフや相談窓口を設ける」といった環境づくりに関する意見も上がりました。
発表後、伊藤さんは「大切なのは、“話していいんだ”という雰囲気づくり。そのためには知識だけでなく、対話の経験が必要です。今日のような場をきっかけにしてほしい」と学生たちに語りかけました。
男子学生からも「自分たち男性が当たり前に知識を持ち、話題にできることが大切だと感じた」といった前向きな発言があり、伊藤さんは「とても心強い」と応じていました。
授業後、適切かつ効率的な運動を学習するため、オーバーヘッドスクワットと片脚スクワットを実践。ここまで話を聞いて、話し合ってと、座ってばかりいたためか、実際に運動をすることになり、空気が少し和らぎます。
和やかにスタートを切るも、この運動が意外にきつい。皆さん苦労しながら運動をこなします。
運動後、授業の締めくくりに伊藤さんは、「この講義の内容は、必ず皆さんの現場で役に立つと思います。今日だけでは語りきれないことがたくさんあります。もっと知りたい人は、ぜひ自分から学びにきてください。知識は誰かを支える力になります」と呼びかけました。
そして、すべての参加者に「話せないことで、苦しみが大きくなることもあります。皆さんには、知識を“寄り添うための道具”として持っていてほしい。今日がその第一歩になればうれしいです」と力強く語りかけました。
参加学生からは、
・生理のことを話しやすい雰囲気作りを心がけたいと感じました。
・生理で休んでいるようなら勝てないと思いながら競技をしていたので新しい考え方を学べました。
・他人事だとは思わずに、1人のアスリートとして女性の生理について理解を深めなくてはならないと思いました。
といった声が聞かれました。
誰かの痛みや悩みに寄り添える知識と姿勢をさらに周囲にも広げていってだいただけると嬉しく思います。
ご参加いただいた皆様ありがとうございました。