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2021年12月2日チャペル・青木保憲先生(グレース宣教会 牧師)のメッセージ

「愛溢れる生き方」 青木保憲先生(グレース宣教会 牧師)

【コヘレトの言葉】11:1 あなたのパンを水に浮かべて流すがよい。月日がたってから、それを見いだすだろう。

「コスパなんか、けっとばせ」

突然ですが、こんなアルバイト募集の広告を目にしたら、みなさんはどこをまず見ますか?おそらく「時給○○円」でしょう。
自分がどれだけ働けば、いくらもらえるか。そう考えて、このバイトをやるかやらないかを決めることと思います。
これはコストパフォーマンスという考え方です。「コスパ」と呼ばれることもありますね。
わたしたちは、必要最小限の労力で、最大の効果を生み出したい。そんな仕事、そんな生き方をしたいと願う者です。
例えば私も今日、このキリスト教短期大学へ来るのに、どの経路が一番お得か、と考えました。

こういったコスパ追求という観点から見ると、今日お読みしたコヘレトの言葉は、大いに矛盾しています。
「あなたのパンを水に浮かべて流すがよい。」と言うのですから。これは一見、無駄なことです。意味のないこと。コスパ追求から言えば、やってはいけないことです。
しかし聖書は続けます。「月日がたってから、それを見いだすだろう。」と。

ここにおられるみなさんのほとんどは、保育現場に出て行かれる方だと聞いています。
実は、保育園の先生、小中学校の先生、そして牧師も含めて、その仕事はコスパ追求だけではやりおおせないことになります。
ですからみなさんは、社会に出ると仕事とコスパとの間で苦しむことになるかもしれないのです。
私もかつて小学校の教員をしていましたから、この苦しさを実感した者です。

聖書が語る知恵の言葉は、このコスパ追求志向を乗り越える方法を伝えています。
それが「あなたのパンを水に浮かべて流すがよい。」ということです。
コスパよりも自分を突き動かす熱量を信じ、聖書が語る「受けるよりも与える方が幸い」という生き方を選択するとき、私たちは自分だけでなく、次世代を育成する尊い働きに貢献することができるのです。
言い換えるなら、「じぶん銀行」から未来投資するようなものです。
その投資は、思いもよらぬ時に、「サプライズ」なやり方で私たちに返って来る、と聖書は教えています。
一般的に「無駄だ」と思われる中にこそ、思いもよらぬ報いを与えてくれる機会が転がっているものなのです。
仕事として「他者に関わる」こと、特に自分より年下の者の成長に関われるということは、素晴らしいことです。
それによって、実は自分もまた成長できるからです。

クリスマスは、まさに神のひとり子であるイエス様が、コスパ無視でこの地に来てくださったことをお祝いするひと時です。
私たちのような未熟な者が担う罪を取り除くために来てくださいました。
その精神を体現しているのが、この大学のようなミッションスクールです。具体的に未来育成事業のためにコスパ無視で向き合っています。

私たちは、世の中が「コスパ追求」に突き進み、いつしか「無駄なことはしない方がいい」という風潮に飲み込まれてしまいがちです。
だからこそ、聖書の言葉、知恵に立ち返り、「コスパなんかけっとばせ!」と、目の前の一人、子どもを愛することに徹していきましょう。

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